一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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朝露について

質問者:   会社員   清水 優
登録番号0037   登録日:2004-03-05
植物の葉にある朝露の内容・機能について教えてください。
また、その液体の出口の名称も教えてください。
清水 優さま

葉につく露,これには2種類あります。
一つは本当の露です。晴れた日の朝には,放射冷却によって葉の表面から熱が奪われ,空気よりも温度が下がります。空気が湿っていると,葉の温度が露点以下になって露がつきます。したがって,この場合には,露の成分は純粋に水です。

もう一つは根圧によるものです。根の細胞が,呼吸エネルギーを使って,中心柱の道管(土壌から吸い上げた水や、窒素・カリウムなどの栄養塩類を地上部に運ぶ働きをしています)にイオンを送り込みます。これで浸透圧があがり,土壌の水が植物の体内に入り,地上部までやってきます。ヘチマ水と同じ原理です。この水が葉の「水孔」とよばれる穴から出てきます。この現象を溢泌といいます。つる植物(たとえばホップと同じ仲間のカナムグラ),オランダイチゴ,サトイモなどではよく見られる現象です。溢泌は蒸散の少ない状況などで、体内の過剰水分の排出に働いていると考えられています。溢泌液は、もともとは植物の道管液ですから、様々なイオン類が含まれています。ただ、植物にとって貴重な栄養素をそのまま捨ててしまうのはもったいないので、「水孔」周辺の細胞には、溢泌液の中からもう一度必要な栄養を植物体内に取り戻す仕組みが存在することが分かってきました。

 寺島 一郎(大阪大学)
奈良女子大学
 三村 徹郎
回答日:2006-10-20
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