一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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あさがおの色について

質問者:   その他   冨士 雄平
登録番号0113   登録日:2004-08-12
弟が学校からもってかえってきたあさがおでふしぎなことがあります。

朝、花がさいた時は紫、夕方に見ると花の色が赤に変わっています。
おとうさんにきいたのですが、答えられませんでした。
なぜ、花の色が変わるのでしょうか?
質問いただきありがとうございます。
アサガオの花の色素は、アントシアニンといって、ちょうどリトマスのように水素イオン濃度(pH)で色が変わります。酸性で赤色、中性で紫色、アルカリ性で青色になります。お尋ねの紫色のアサガオがしぼむと赤色になるのは、咲いたときよりも、pHが下がったためです。

アサガオの花びらは、何層もの細胞でできていますが、表と裏側のそれぞれ一番外側の細胞にしか色はついていません。そして、咲くときにこの着色細胞の中にある、色素の入っている「液胞」という袋のpHだけが上ります。これはとてもエネルギーを使いますので、活き活きとした元気な細胞だけが行なうことができます。ただし、その時に、内側の無色の細胞の液胞のpHははなぜか上りません。

しぼむということは、花びらの細胞が死んでいくことです。その時には、エネルギーは使い果たしてしまい、pHを上げることができなくなります。さらに、細胞と細胞を分けている膜に穴があいて、液が混じり合うようになります。
そうすると、pHは全体としては下がってしまい、花びらの色は赤っぽくなります。

私たちは、空色西洋アサガオという咲いたときに青色になるアサガオの色の変化を研究していてこういう仕組みを発見しましたが、他の色のアサガオでも同じようなことが起きていることもわかってきました。

どうぞ、この紫色のアサガオのツボミの花びらの色も観察してみてください。
それと、咲いた花をつぶして色水を作るとどんな色になるでしょうか?
その色水に食酢や重層水を入れるとどうなるでしょうか?
いろいろな自然げんしょうを不思議だなと思う気持ちを大切にして、残りの夏休みを元気に過ごして下さい。

(名古屋大学)
http://www.human.nagoya-u.ac.jp/lab/yoshida/
回答日:2004-08-18
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