質問コーナー


質問コーナーでは、植物科学に関するご質問に、サイエンスアドバイザーや専門の先生方がお答えします。サイエンスアドバイザーから回答を依頼された先生は、ご協力よろしく御願いします。

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最新の質問と回答

質問:イチョウの雌雄 登録番号: 1609
2008-05-12
イチョウの雌雄を見分けるのに、ギンナンが三つの角があれば芽生えれば雌木、二つしかなければ雄木との説がありますが本当でしょうか。
自営業
ジョー
回答:
ジョ−様

 みんなのひろばへのご質問ありがとうございました。頂いたご質問の回答を東京大学付属小石川植物園の園長を勤めておられたこともある東京大学名誉教授の長田敏行先生にお願いしましたところ、以下のような内容の回答を寄せて下さいました。私もジョ−様がご自分でお調べになり、この件に決着をつけられるたらどうかなと思っています。

柴岡 弘郎(JSPPサイエンスアドバイザー)

長田先生のご意見

 ギンナンの形で雌雄がわかるという話があることは聞いていますが、俗説であり、根拠は無いようです。ギンナンが三角形であるのは、胚乳が単数でなく複数の場合生じるようで雌雄性とは関係ありません。科学的に調べた人があるかどうかは分かりませんが、ジョーさんご自身で、ギンナンを発芽させ、芽生えの運命を確かめるというのはどうでしょうか。実は、雌雄性が分かるのは相当たってからですので、実験的にきちんと調べた人はいないと思います。また、雌雄で染色体の違いもありませんので、そこからも分かりません。

長田 敏行(東京大学名誉教授)
2008-05-21
東京大学名誉教授
長田 敏行


質問:タラヨウやクロガネモチは雄株がなくても、雌株は結実できますか? 登録番号: 1608
2008-05-11
趣味で樹木の写真を撮っています。
近くの公園にタラヨウやクロガネモチがあり、秋には赤い実をつけます。
しかし、どちらもモチノキ科で雌雄異株なのに、近くに雄株が見当たりません。どうして結実できるのでしょうか。
いろいろ調べたのですが、上記2種の雌株の花が両性花と書かれた資料もありません。よろしくお願いします。
一般
JIN
回答:
JIN さん:

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。

タラヨウやクロガネモチに限らず有性生殖を行う生物は通常、異性の配偶子(卵子と精子あるいは花粉)が融合しなければ子孫を残せません。雌雄異株植物では雌株の花に雄株の花粉がついて初めて子孫つまり果実ができます。お訊ねのように雌株だけ(あるいは雄株だけ)が植裁されている場合はどうなるのか、森林植物科学をご専門とされている東京大学大学院の宝月岱造先生に伺い、次のようなお答えをいただきました。疑問は解消すると思います。

今関 英雅(JSPPサイエンスアドバイザー)

裁判などで使われる親子判定と同じ方法を使えば、種子のDNAと母樹のDNAと周囲の同じ樹種の木のDNAを調べることによって、種子の父親(花粉親)を判定することができます。種子の花粉親が解ると、花粉親と母樹との距離、すなわち花粉がどのくらい遠くの木から運ばれてきているかが解ります。このような方法を使って、実際に花粉がどのくらいの距離を運ばれているかが、いくつかの樹種で調べられています。樫の木の一種では、数百メートルも離れた樹木からも花粉が運ばれることが知られています。ホウノキやフタバガキ科の樹木などでも同様に、ずっと遠くの木から花粉が運ばれていることが知られています。おそらく、他の多くの樹種でも同じように、花粉は結構遠くまで運ばれているのでしょう。モチノキ属ではこのような調査はまだされていませんが、タラヨウやクロガネモチでも、見回しても見つからないような、ずいぶんと離れている雄株から花粉が運ばれていると考えて良いと思います。

なお、同様な質問が1530 にあり異なる解釈が述べられていますので、こちらの回答もご参照下さい。

宝月 岱造(東京大学大学院農学生命科学研究科)
2008-11-14
東京大学大学院農学生命科学研究科
宝月 岱造


質問:葉の気孔について 登録番号: 1607
2008-05-11
質問の回答ありがとうございました。何度もすみませんが前のものと一緒に質問しわすれていたことがありました。葉の気孔は二酸化炭素の影響などで気孔が減っていますが、二酸化炭素の影響を受けてから今、はえている葉に影響がでるのか、それとも次の葉に影響がでるのか、遺伝子的にどのような信号が送られるのか、研究や何かで分かっていることなど色々このことについて教えてください。お願いします。
中学生
香南子
回答:
香奈子 さま

 これまでのご質問(登録番号1580, 1598)に対する回答での実験や測定は全て同じ種の植物で、遺伝子も同じ植物を比較して得られた結果です。これは植物に限らず全ての生物を用いた実験は、できる限りこの条件に適うようにして研究をするのが前提です。二酸化炭素濃度によって気孔の面積当たりの数が影響を受けるのは、その植物を育てた周りの二酸化炭素濃度だけが原因でそのようになるのであり、実験に用いた植物の遺伝的な違いによるものではありません。

 ハスの葉のように気孔が葉の表側にある植物もありますが、大部分の植物では気孔は葉の裏側の表皮細胞の一部が気孔をもつ細胞になっています。表皮細胞になる細胞がどうして気孔をもつ細胞になるのか、これをコントロールする遺伝子が、最近明らかにされてきましたが、これらについては、http://www.jst.go.jp/pr/info/info368/index.html に研究成果の要約があります。しかし、これらの遺伝子の作用による調節が、二酸化炭素濃度によってどのようなメカニズムで影響を受け、気孔をもつ細胞の数に影響しているかは、まだこれからの研究課題です。

浅田 浩二(JSPPサイエンスアドバイザー)
2008-05-21
JSPPサイエンスアドバイザー
浅田 浩二


質問:サザンカのいもち病について 登録番号: 1605
2008-05-08
4月下旬頃から庭のサザンカにいもち病が見られるようになりました。他のお宅にも観察できましたが私の家は異常に多いと感じました。いもち病について調べてみたところ原因はカビによるものだとわかりました。これについて以下のような疑問を持ちました。

・カビは植物のどこから侵入するのか?(私は気孔ではないかと思っています。)

・植物内に入ったカビはどのように葉を肥大させるのか?(植物ホルモンを作らせるのではないかと思っています。)
・もし植物ホルモンを作らせるならカビがDNAを操作している可能性はあるのか?

・胞子の飛ぶ距離はどれくらいか?

・カビに侵された植物は何らかの対処をしているのか?

よろしくお願いいたします。
浪人生
ちった
回答:
ちった さん:

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。

“サザンカの「いもち病」について”とのご質問ですが「いもち病」というのはイネに特有の病気で、ツバキ科のサザンカにはない病気です。おそらく「もち病」の間違いだと思いますのでもち病についてお答えします。「もち病」はツバキ科とツツジ科に見られる病気で感染部(主に新葉)がもちを焼いたときのように膨らむことから名付けられ、担子菌類に属する糸状菌による病気です。病原性糸状菌の感染様式にはいろいろな型がありますが、もち病菌は宿主の細胞を殺さないで栄養を吸い取る方式です。葉の表面で胞子が発芽し付着器を介して細胞内に潜り込み、ハウストリアという樹状の構造体を形成します。ハウストリアは菌細胞と宿主細胞の細胞膜とが大きな接触面積をもつようになっていて、宿主細胞から栄養を効率よく吸収したり、菌の産物を宿主に放出したりすることができます。感染した宿主組織が膨れる理由は単純ではありませんが、もち病菌がインドール酢酸などの植物ホルモンを合成・分泌するため、宿主細胞の細胞分裂が促進されることが原因の一つだと考えられています。

「もし植物ホルモンを作らせるならカビがDNAを操作している可能性はあるのか?」とのご質問の意味が分かりかねますが、カビが合成した植物ホルモンは植物細胞の遺伝子発現を制御して効果を現すもので、アグロバクテリアのように自身の植物ホルモン合成遺伝子を含むDNAを複製して植物側に送り込むのとは違うものです。

サザンカでは研究がありませんが、静岡県茶業試験場の研究ではチャの品種によって感染率が大きく違うとの結果がでていますので、抵抗性品種では何らかの抵抗反応を示す仕組みがあると考えることができます。一般的には、菌糸が侵入するとき宿主側がカロースやリグニンを形成して菌侵入を物理的に妨げる仕組みがあります。その出来方が品種によって違えば、抵抗性に違いがでることになります。

今関 英雅(JSPPサイエンスアドバイザー)
2008-05-14
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅


質問:ショ糖の検出方について 登録番号: 1604
2008-05-07
6年生の理科の授業で,光合成を扱います。常にでんぷんができるのではなく,
ショ糖ができることも伝えたいと思うのですが,光合成でできたショ糖を簡単に検出できる方法があれば,お教えください。
教員
ヤム
回答:
ヤム さん

ご質問をありがとうございます。小学生を相手に意欲的に授業に取り組まれておられるご様子ですね。

デンプンの場合と同じように、葉の上でショ糖を検出することが出来るとよいのですが、それはかなり難しいようです。主な理由は、ショ糖が非常によく水に溶けることと、適当な呈色反応がないことによります。

一方、水に溶け出してきたショ糖(植物体の絞り汁または水抽出液中のショ糖)を検出する方法にはいろいろあります。比較的簡単なやり方は、葉の絞り汁をつくり、次いで酸を用いてその中に含まれるショ糖をブドウ糖と果糖に加水分解し、この分解産物をべネジクト液(またはフェーリング液)と呼ばれている試薬で検出するものです。この方法は教材としても開発されているようですが、かなり薬品を使うし複雑な操作を伴いますので、小学生には無理ではないかと思います。

ところで、サトウキビの茎や柿の果実などに蓄積するショ糖は、植物体をかじって味わうことができますね(サトウキビの茎の絞り汁中にはショ糖が実に20パーセントも含まれていることがあるそうです)これに対して、糖葉と呼ばれる葉などの場合でも、ショ糖の濃度が低いので、噛んで甘さを確かめるのは一寸無理だと思います。

なお、複雑な物理学的な機器を用いて糖の含量を推定する方法がないわけではありませんが、ここでは論外としておきます。 モモなどの果実の熟度(甘さ)を計る“糖度計”と呼ばれる簡単な測定器も市販されていますが、これを活用するには問題が多いと思います。

佐藤 公行(JSPPサイエンスアドバイザー)
2008-05-14
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行


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