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葉緑体は、何も無いところから突然生じるわけではなく、既に細胞内に存在する葉緑体が分裂することによって増殖します。葉緑体の分裂は、FtsZリングなどから成る多重リング構造(分裂装置)が分裂位置で収縮することによって引き起こされます(森氏の解説
http://www.jspp.org/17hiroba/photo_gallery/09_mori/09_mori.html
を御参照下さい)。葉緑体が分裂する際には、通常、その中央にFtsZリングが形成され、結果として均等なサイズの2個の葉緑体が生じます。これは一見、当たり前のことのように思えますが、もし葉緑体が自分の中央を「知っている」のでなければ、分裂位置はバラバラになり、サイズの不揃いな葉緑体ができてしまうはずです。
藤原らは、FtsZリングが葉緑体中央に作られるためには、葉緑体の祖先(光合成をおこなう原核生物)から受け継がれてきた2種のタンパク質MinD、MinEの活性のバランスが重要であることを報告しています。例えば、本来の状態と比較してMinEの活性がMinDの活性を上回ると、葉緑体のさまざまな位置に一つまたは複数のFtsZリングが形成されてしまいます。逆に、MinDの活性が優勢のときには、FtsZリング形成そのものが阻害されてしまいます。
表紙の写真は、シロイヌナズナMinE(AtMinE1)を過剰発現した葉の細胞を高感度蛍光顕微鏡で撮影したものです。赤色は葉緑体の自家蛍光、緑色は緑色蛍光タンパク質で標識したシロイヌナズナFtsZ(AtFtsZ1-1)タンパク質です。MinEが過剰にある細胞では、葉緑体は中央を「知る」ことができなくなり、FtsZリングが葉緑体の軸に沿ってランダムな位置に作られていることが分かります。
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