12.おわりに : 葉の複雑さを決める遺伝子

塚谷 今日は渓流沿い植物を最初にお話しましたので、葉っぱの縦、横、それぞれどんな遺伝子が制御しいるかということを、こういう感じで研究していますと簡単にご紹介しました。実は葉っぱの形は縦、横だけではなく、切れ込みが入る葉っぱもあります。クシャクシャになった葉っぱもある。1つずつそういうことをやっている遺伝子を決めているところです。思いがけないことには、葉っぱは1枚ぺらっとした構造をしていますが、これも、一回、葉っぱをつくったらそれでお終い、ということを指令している遺伝子もあるみたいです。というのも、ある2つの遺伝子をいじると、こんなふうに (写真13) 葉っぱであるべきはずのものが、ほとんど森のようになって細かく分かれ続けてしまうようなものができてしまうのです。ですから、葉っぱには、「ここまでつくったから、もう完成したよ、お終いにしていいよ」というシグナルがあるようです。そんなわけで、そういうお終いのタイミングを制御している遺伝子についても、今、研究をしています。

まとめますと、私たちの研究の目的というのは、これら全てを通じて、葉っぱのどんな遺伝子がどういうふうに働くことで、世の中の植物がこれだけ多様になってきたか、ということを明らかにしようというところにあります。これからも葉っぱを中心にして、地球上の植物がどんなふうにできているかを知りたいと思っている次第です。なお、今日のタイトルは 「植物のこころ」 といたしましたが、数年前、『植物のこころ』 というタイトルの本を書いたら 「植物にこころがあるんですね」 と言われてしまったことがあります。でも私の真意は 「そうではなく、植物に本質的なものがある、それを知りたいと思っているんですよ」 というところでして、今日はその中で葉っぱをキーワードにして植物がどんな暮らしをしているのか、どういう背景があって、こういう姿をしているかについて一部を紹介させていただきました。

以上です。ご静聴ありがとうございました。

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