9.果物の細胞壁の役割とその硬さの測定

櫻井 果物は何からできているか。メロンの例をとりますと食べる部分、果肉組織と言います。細胞の固まりが食べている部分です (図16)。細胞の一つひとつを見ますと核があったり、タンパク質があったり液胞があります。細胞の液胞も植物の特徴であります。果物が細胞からできていて、私たちが食べる瞬間まで生きています。生きているか死んでいるか、どこで見るか。細胞膜が自分で膜の機能を失った時、その時に死んでいると言えます。生きている細胞には張りがあります。細胞内部にはいろんなものが溶けていて浸透圧を生じる環境が整っていますから水を吸う力があります。ところが細胞壁がありますので、水を吸おうと思っても細胞壁が抵抗している。抵抗する圧力のことを壁圧と言います。壁圧があるから膨圧が生じるということです (図17)。たとえば私が壁を手で押そうとする。すごい力をかけているのです。壁があるからです。もし窓を開けて空気を押したら何も力はかかりません。だから膨圧というのは壁圧、細胞壁があるから生じている。高校では膨圧のことを習いますが、それは細胞壁があるから生じているということはあまり言いません。植物に張りがあったり、鮮度が高い、膨圧を生じているという状態は細胞壁があるから生じているということになります。

そんなに強い細胞壁は何でできているか。それは長い分子がたくさんつながってできている。この細胞壁は大まかに言えばペプチン、ヘミセルロース、セルロースの3つの成分からできています。それはそれぞれの長い分子ですが、ジクザク型をしていたり、櫛型をしていたり、直線的な分子だったりします (図18)。こういうものが糖、一つひとつはぶどう糖のようなものですが、ペプチンだったら6,000個、ヘミセルロースだったら4,000個くらい、セルロースだったら1万個くらいつながった分子です。これを多糖類と言います。ジュースとかコーヒーとか、紙パックを買われたら、多糖類という表示があるかもしれません。大部分にペプチンの分子が入っています。それによって、とろみ感をつけます。それは大きな分子だからです。そういう糖がたくさんつながった大きな長い分子が細胞壁の中にあります。細胞壁はセルロースが束になって存在していますから繊維状になります。その間をギザギザ分子、櫛型分子とかを含めて、それで細胞壁ができています。

細胞壁は何の役に立っているか。膨圧が生じているから細胞に張りを与えるという細胞壁の役割があります。それによって細胞に形を与えます。セルロースは大体横に並んでいますと細長い細胞になる。縦に並ぶと平たい細胞になります。ランダムに並んでいると丸い細胞になります。つまりセルロースの向きによって細胞壁の形によって細胞の形が決まっているということになります。それによって重力に耐える構造を植物に与えているのが細胞壁です。

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