松岡 それでは何故、CKX2 遺伝子の働きが悪いとタネの数が増えるのでしょうか。先ほど話したように、CKXはサイトカイニンというホルモンを分解します。このサイトカイニンというホルモンは、植物の芽を作るのに必要なホルモンです。この写真にあるように、植物にサイトカイニンを与えると、芽がいっぱいできて、芽だらけの奇妙な植物体になります (図21)。また、花芽を作る時期にこのホルモンを与えると花の数が増えます。花の数はつまり実の数と同じことですから、サイトカイニンが多ければタネの数が多いことになります。CKXはサイトカイニンを分解する酵素ですから、この酵素の働きが悪ければ、サイトカイニンは多くなり、花芽が増えて、タネの数が増える、という理屈となり、つじつまが合います。
それでは実際に、花芽のサイトカイニンの量はコシヒカリとハバタキとは違うのでしょうか。それを量ったところ、確かに、ハバタキに比べてコシヒカリのサイトカイニンは半分位になっていることが確認されました (図22)。つまり、イネのタネの数を増やすには、花芽のサイトカイニンの量を増加させれば良かったわけです。