松岡 私たちは新しい遺伝子を見つけると、子供が生まれると名前を付けるのと同じように、まず名前を付けます。名前は見つけた人が付ける権利を持ちますが、子供の名前と同じで、何でも良いというわけにも生きません。私たちはサイトカイニンというホルモンにちなんでこの遺伝子をCKX2 遺伝子と名付けました (図20)。それでは次に、この遺伝子が本当にタネの数を調節しているかを確かめなければいけません。まずこの遺伝子の働きをコシヒカリとハバタキで比べてみました。この部分を見てください。この赤く囲った中で、KoとあるのはコシヒカリでHaはハバタキのことで、この黒いシミのようなものが太く濃ければ濃いほど働きが強いことを示します。ですから、このCKX2 はコシヒカリで働きがよく、ハバタキでは働きが悪いことを意味します。私たちは最初この結果を見た時に少しあわてました。というのは、ハバタキのタネの数が多いのはGn1 の働きがよく、コシヒカリは悪いと考えていたからです。そこでこの結果が正しいのか、別の収量の多い品種でもこのCKX2 遺伝子の働きを調べることにしました。中国に5150と名付けられた超多収の品種があります。この品種はハバタキが300粒位に対して、一穂で400粒ものタネが付きます。この品種のCKX2 遺伝子を前と同じ実験で調べたら、シミは全く見られない、つまりこの遺伝子は完全に働いていないことがわかりました。このことは、CKX2 遺伝子の働きが悪ければ悪いほどタネの数は増加する、と言うことを意味します。