松岡 さて、次にGn1 遺伝子の本体は何かを調べました。いま、「ここだけハバタキ」 とコシヒカリのタネの数は90粒くらいの違いがあるとお話ししました。この違いはGn1 遺伝子の違いだと考えられます。それでは、このGn1 付近のハバタキの染色体を、さっきやったようにさらに短くしていったらどうなるでしょうか。この図はそれを模式的に表しています (図17)。赤のハバタキの部分が短くなっていき、Gn1 遺伝子の場所を削ってしまうと、タネの数はその時点で平均240から150粒に変わるはずです。実際の実験は、ハバタキの赤い部分が少しずつ短くなっていくイネを順番に並べて田圃に植えます。このとき、1個体だけだと個体差なのかGn1 が無くなったせいで少なくなったのかがわからないので、同じ染色体を持った個体を10本ずつ列にして植えていき、タネがみのった時に、列ごとに穂を取って数えていきます。そうすると、隣り合う2つの列でタネの数が違う場所が出てきます。この場所がGn1 遺伝子のある場所に対応するわけです。このスライドは実際に今お話しした実験をやっている田圃です (図18)。一列ごとに看板を立てて、どの個体か間違わないように注意して実験をやります。
このような実験を都合3年かけて、約2万個体のイネについて行い、結局、Gn1 の場所を、イネの染色体1番の 6.3Kb の領域に狭めました (図19)。この中には、もはや遺伝子は1つしか無く、その遺伝子はサイトカイニンという植物ホルモンを分解する酵素を作る情報を持っていることがわかりました。