長谷部 今日、3つ問題点があると話しました (図7)。今までわかってきたこと、何かどう変わっているかについては、遺伝子の発現が6時間くらいでドカンと変わる。それが光や切り離すことによって影響を受ける。そこで変わっているものは何か。情報を溜めるところ、核の情報を読みやすくしたり、読みにくくしたりする、それを調整するタンパク質が、どうも変わってそうだということがわかってきた。情報は変わらないんですね、それを読みやすくするか、読みにくくするか。それが多分、2番目の答えにもつながっていて、これはまだこれから調べないといけないんですが。どうして植物はそれが簡単にできるか。予想としては植物の方が糸をほぐしやすい。ギューッと絡まった糸と適当に絡まった糸だったら、適当に絡まった糸の方が簡単にほぐれます。もしかしたら植物はそういうものなのかもしれない。これはまだわからない。
3番目、これもまだわかりません。ただクロマチン、タコ糸を緩めたり縮めたりする酵素は動物にもある。植物にもある。両方ある。動物も植物も共通のしくみを持っているのかもしれない。この先、植物で一体どういうふうになっているかを調べていく。ここらへんをちぎって、フッとやると自分が500人くらいできるようになるかもしれない。今日の話で、再生の現象がどれくらいわかってきたか。それとともに研究の進め方について。ぜひ科学的な考え方を再度、思い起こしていただければと思います。
問題点をつくって仮説を立てて、それを実験で調べて、さらに次の問題をつくっていく。この考え方は日常生活にも大事で、いきなり電話がかかってきて 「俺だけど、お金を入れてくれよ」 と言われたら、そこで問題点をつくって 「これは本当だろうか」。実験方法として 「確認の電話をする」 という思考があれば、皆さん、お金をなくさず済むだろうと。それとともに植物、我々は人間なので、日頃、つい自分のことを中心に考えますけど、指を切った時、指から自分が生えてくるなんて考えませんけど、世の中広い、植物はそんなことができちゃう。我々以外の生き物、たくさんいるんですね。生物の類縁関係を描いた系図です、生き物の (図14)。僕らは後生動物の端っこの方です。他にいろんな生物がいる。カビは植物よりもヒトに近い系統です。他に粘菌とかゾウリムシ、ミドリムシ、いろんな生物がいるわけです。皆、今の植物の再生と同じような、不思議な現象をいっぱい持っている。ぜひ我々は生き物の中のたった一つの 「枝」 なんだということを認識していただければと思います。
高校生、中学生が教科書を読んでいると、特に生物の教科書を見ると、何でもわかっているようなことが書いてありますが、葉っぱを切って、どうして芽が出るかということすらわかっていない。わかってないことって、いっぱいあるので、世の中、楽しいですから、ぜひこれから科学を楽しんでいただければと思います。
今日はご清聴ありがとうございました。
司会 長谷部さん、ありがとうございました。植物の研究って何か役に立たないことに見えちゃったりしますけど、意外や意外、再生医療に実は結びついているのだなということを聴き取っていただけたらいいかなと思います。