7.植物再生研究の問題点

長谷部 まずは一体何が、どうやって変わっているんだろう。葉っぱの細胞が幹細胞、個体に変わっていく、その時に何が変わって、そうなっていくのか。もう一つは動物でも植物でも1つの細胞から個体を再生できるとわかりました。だけど圧倒的に植物の方がやりやすい。マウスの場合、いろんな操作をしないといけない。ところが植物は葉っぱを切って水につけておけばいい。24時間たてばニョキニョキ出てくる。どうして植物は動物よりもリプログラムがしやすいのか。さらに動物と植物で両方再生能力がある。それは同じなのか、違うのか。これを調べてみる、解いてやるというわけです。そういう問題が立ったら、それにしたがって問題を解いていく。その時のアプローチで大事なのは現象を分解していく、細かい過程に分けていく。これを還元化すると言います。よく還元主義はいけません、全体的に考えましょうと言いますが、還元しないと人間は理解できないので、まずは還元する。還元しただけでは、分解しただけではだめです。その後、それを総合して考える。まず現象を見て、それを分解してやろう。

分解するというのはどういうことだろうか。葉っぱの1つの細胞です。ニョキニョキ動いて出てます。この過程でどういうことが起こるのかということを時間的に見ていくと、葉っぱの周りの細胞、全部殺してあるんです。レーザービームで殺して1細胞だけ生かしています。そうすると葉っぱの細胞が1個あって、それが幹細胞に変わった。受精卵のような細胞に。その後で細胞が分裂します。2つに分かれています。この時に分裂して幹細胞そのものともう1つの細胞になる。これがまた幹細胞になる。また分裂していく。分裂する時に細胞は伸長するので葉から幹細胞になって、それが分裂して、伸びていってまた分裂する。これを繰り返す。こういうように現象は進んでいっているようだということがわかってきます。観察してわかるんですね。

だとすると葉っぱから幹細胞になるところが問題です。一体何が起こるのか。これが問題点だと話をしました。ここのきっかけは何なのか。これを調べてみるにはどうしたらいいか。葉の細胞が幹細胞になるのは。いくつか実験しまして、そのうちの一つを紹介します (図8)。これは切り離すことが必要なんです。茎葉があって、葉があって切る。これを切って水の中に置いてやるとニョキニョキ生えてくる。切り離すことがどうして必要か。茎についている切られた方の葉っぱはニョキニョキ出てこない。本体から葉っぱを切り離すことが必要なんだということが、この実験からわかってきます。どうやら切り離す、最初の刺激としては、切り離すことが必要だろう。さらにもう少し詳しく調べていきます。葉の細胞から幹細胞になって細胞分裂して伸びだすと説明しましたが、その時に細胞分裂をする、幹細胞化するところ、肉眼ではよくわからない。研究する時に大事なことですが、なるべく簡単に調べられる方法を探す。顕微鏡を使って一生懸命調べないといけないのは人間がやることなので、根気のある人もいますが、根気のない人もいる。なるべく楽な方法を探すことが研究の大事なところです。そういう時に使う方法は簡単な指標、幹細胞に代わる、それと付随して何か起こる見やすいことはないか。それがあるんですね (図9)。ニョキニョキ、イカのゲソみたいに伸びてくるもの。切った葉っぱの1つの細胞が幹細胞になって分裂して伸びてくる。伸びるのは見やすい。伸びるというのは切って葉の細胞が幹細胞になった、すぐ後に伸びる。伸びたものが幹細胞になるんだろう。葉っぱの細胞が40個ある。そのうちいくつの細胞が幹細胞化したか。この段階で見るのは大変です。顕微鏡でジッーと見ないといけない。ところがこれを見ると簡単に1、2、3、4、5、6個と数えられる。そういう指標を探していくことが必要です。その指標を使ってこれから別な実験をしていきます。

前を読む 次を読む


※ 本ホームページの市民講座に収録された研究内容・図表は日本植物生理学会に帰属します。これらの研究内容・図表を元に作成した著作に新たなコピーライトの設定は認めません。二次利用に際して、研究内容・図表の提供者である講演者のクレジット保護にご配慮ください。