3.植物の再生研究を始めたきっかけ

長谷部 さて本題に入っていきます。今日は再生の話をします。この研究は科学技術振興機構のERATO分化全能性進化プロジェクトという研究グループで進めています。

研究を始めるきっかけがあるわけですが、再生研究のきっかけは何か。僕らはこの研究を2年前に始めました。また研究を始めたほんの始まりの段階です。そのきっかけは我々の研究所が所属している総合研究大学院大学の授業の一環として、当時の研究所長が 「生き物は生まれてから死ぬまで見ないとだめだ」 という強いポリシーがあって、僕も同感です、生き物が生まれて死ぬまでのすべてのビデオを撮って、ネズミが生まれてから死ぬまでだと何カ月もかかっちゃいますから、それを短縮して何分間にまとめてビデオに撮る企画をやろうじゃないかと始めたわけです。僕はコケを使いました。小さなコケで1ミリくらい。このコケを使って研究をする。コケから胞子ができて、胞子から糸状の芽が出てくる。この後、茎、葉ができる。このように生活史が回るんですが、コケを研究して、その過程をビデオで撮ろうと思った。実際、撮ってみました。

これは葉っぱです (図3)。茎があって葉っぱを切り離して水の中に置いておいた。これくらいまでは何ともない。1日くらいたつとニョキニョキ生えてくる (http://www.nibb.ac.jp/evodevo/ERATO/movie/MacMovie.mp4)。なんじゃ、これは。葉っぱなんですね。ひとつひとつの細胞です。粒々には葉緑体という粒が入っていて、そこで光合成しているんですね。これが1つの細胞、葉っぱの細胞がニョキニョキ伸びだしてくる。この後、ニョキニョキ伸びだした先端が茎葉になる。葉っぱを切って置いておくと元の体がワーッといっぱい出てきちゃう。ずいぶん面白いなということでこの研究を始めたわけです。研究には必ずきっかけがあるという話です。

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