5.重力屈性の発見

森田 こんなふうに光、重力、水分とかいろいろなものに対応して植物は屈性を行うわけですが、重力だけはこの地球上にいる限り、消すことができません。屈性の反応そのものは昔から、紀元前から観察されていて、こんな反応がありますと記録に残っていたりしますけど、光によってその反応が起こっているのか、重力の刺激でその反応が起こっているのかというのは実はわりあい最近までわかっていませんでした。植物が、重力に対して確かに屈性という反応をするということについては、1806年、約200年前にナイトという人が初めて実験的に証明しました。彼はどういうふうにやったのでしょう。これは想像ですが、庭に流れる小川の水力を利用して水車をつくって、その原動力で回せる遠心器をつくったそうです。遠心器の回転板を水力で回して、回転板の円周上に植物の芽生えを置いてやる。そして水車でぐるぐる回す。どういうことが起こるか。遠心力が発生します。重力の方向は常に一定で下の方向に向かっている。この場合、遠心力は重力と直交する方向にかかってきます。たとえば重力と等しいくらいの遠心力をかけてやると、さあ、植物はどうなったか。合力の方向に向かって根が伸びていく。胚軸はそれとは反対向きに行く。もっと遠心力を強くしてやったらどうなるか。根は確かに、遠心力に引きずられて、回転外方向に行く。このような結果から、トーマス・ナイトは、重力が、植物に備わったある仕組みに働きかけて成長の方向に影響を与えるだろう、また重力の大きさによって応答の大きさが変わっていくだろうということを発見しました。

前を読む 次を読む


※ 本ホームページの市民講座に収録された研究内容・図表は日本植物生理学会に帰属します。これらの研究内容・図表を元に作成した著作に新たなコピーライトの設定は認めません。二次利用に際して、研究内容・図表の提供者である講演者のクレジット保護にご配慮ください。