森田 植物というのは動かない生き方を選んで、この地球上に繁栄してきた生き物です。タネから芽生えた植物が、芽生えたその場所で、自分の身体、いろいろな器官をつくりながらだんだんと大きくなっていきます。その間にさまざまな環境変化、ストレスにさらされます。動物は 「この環境は気に入らん」 と思ったら、どこかに移動できますが、植物はそういうわけにはいきません。動かない生き方を選んだが故に環境の変化に柔軟に対応して、しかも変化した環境を鋭敏に察知する能力を獲得してきました。さて、動かない生き方を選択したと言いましたけど、待ってください。全く動かないわけではないということを皆さん、経験的にご存じかと思います。
一番有名な動く植物の例としてはオジギソウの葉があります。オジキソウのように、私たちが目で見ている間に、動いて、葉が閉じていく、葉が垂れ下がったと見えるような運動をするものもあります。が、ほとんどの植物は私たちがじっと見ていてもほとんど動いていない。それはなぜか。動くタイムスケールが私たちの日常生活とずいぶんずれている。かなりゆっくりしているので、一見、動いてないように見える。たとえばヒマワリの芽生えを14400倍速で見てみますと、芽生えはまるでダンスをしているように、光などのさまざまな要因の影響を受けながら動いているわけです。
今日のお話の内容は、「植物はどういうふうにして動いているのだろうか?」、とくに、私が研究対象にしている 「重力屈性というのはどういうものなのか?」 です。そして、私自身の研究なるべく簡単にご紹介できるといいなと思っております。